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松井秀樹日記

遺言2-遺言作成が必要な典型的ケース②
2011.5.17 晴れ

さて、遺言作成の必要な典型的ケースの2回目です。

② 遺言者に内縁の妻(又は夫)がいる場合

最近は、「事実婚」が増えているとききます。これは夫婦別姓のままでいたいため、
婚姻届を役場に提出しない結婚のことです。しかし、そうすると配偶者は法律上
の配偶者とはならないため、どちらかが死亡しても残された配偶者が相続人に
なることはありません。つまり、内縁の妻や夫は相続人にはなれないのです。

したがって、いくら財産があったも内縁者には1円もいかないことになります。
こうゆう事態に陥らないためには、正式に婚姻届を出すか、遺言を作成に
内縁者に遺贈することが必要になります。
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遺言1ー遺言の必要な典型的ケース①
2011.5.16 曇り

最近、遺言を書く方が着実に増えています。当事務所でも遺言の相談は日常業務
の一つとなっています。ここでいままでの相談業務の蓄積から、遺言を作成すべき
である典型的ケースについて一つずつこの日記で解説します。

ケース1 亡くなった後の相続人が一人もいない場合

相続人が一人もいないとは、配偶者・子供がいない。両親・祖父母も死亡しており
兄弟もいない、あるいは兄弟がいてもすでに死亡しており、その子供もいないような方です。
このような境遇の方が死亡した場合には、相続人不存在となり、遺産は最終的
には国庫に帰属してしまいます。せっかくご自分で築いた財産を国にもっていか
れるのがいやなら、お世話になった方に遺贈するとか、公的団体に遺贈するなどの
遺言を作成していおく必要があります。
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成年後見20-「小さな後見」
2011.5.13 晴れ

まず成年後見にはまったく関係ない話からはじめます。

このところ自宅の本棚から梶井基次郎の「檸檬(レモン)」という文庫本を引っ張り出し、
電車に乗っているときなどに読み耽っています。30数年前の高校時代に少し
不良がかった現代国語の教師が、この「檸檬」という短編を日本の近代小説の
中で一番美しい短編と言っておりましたが、思うに、宮澤賢治の「やまなし」や
「銀河鉄道の夜」などとともに、基次郎の作品はその文体の美しさで極光のように
輝いています。

さて、基次郎は冬によたよた歩く蝿や清流になく河鹿や八百屋のレモンをじっと
見つめることでその小さな世界から大きな世界を照射する物語を創り上げましたが、
われわれの行う日常の仕事も小さな仕事の累々とした積み重ねであり、
気付いたときにはそれが大きな仕事になっていることがあります。

成年後見の仕事もその多くは小さな仕事の累積です。その面においてとても地味な仕事です。
しかし、被後見人のための後見人の小さな行為の積み重ねが「権利擁護」となっていきます。
また、小さな仕事の継続は、ある種の祈りに通じる面、「働くことは祈ることである」に通じる
ところをもっています。

私が関わりのある被後見人さんに来月地デジ対応のテレビを買わなければなりません。
しかし、この方が果たしてちゃんとリモコンを操作できるのか心配です。
家電販売の親父さんとこれについてどうするかいま検討しています。

仕事は小さいのですがとても重要な仕事のように思います。
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岩ツツジと北アルプス
2011.5.9 晴れ

5月3日に長野県の「崖ノ湯」という温泉に家族を連れて行ってきました。
諏訪湖を過ぎ、塩尻にあり、標高1000メートルほどにある一軒宿の温泉です。
時折雨が落ちる空模様でしたが、温泉宿に近づくころには雨も上がっておりました。

温泉宿の玄関の庭には岩ツツジが咲いています。
岩の間から成長し、薄紫の花をたくさんつけています。
私はこれまで秘湯巡りをしてきましたが、山深い温泉を春に訪れると
よくこの岩ツツジを目にし、この花のもつなんともいえない清楚な趣に
小さな旅人として、少し感動したりしてきました。

今度の小旅行でも、この花に逢えたわけです。

西脇順三郎という詩人の「旅人かえらず」という長詩の中に
たしかこの岩ツツジが出てくるところが一箇所あったと記憶しますが、
永遠をかいま見させるこの詩に咲く永遠を感じさせる花のようにも
思えます。

宿はアンティークの調度品でしめられています。品のいい宿です。
露天風呂に行く廊下を歩いていると古い柱時計がボーンボーンと
午後5時を知らせています。お風呂や部屋からは眼下に安曇野が見渡せ
その向こうに北アルプスの峰々が見えます。常念岳の峰が聳えています。
よくよく目を凝らしていると、最初、雲だろうと思っていましたが、猫の双耳の
ような形が遥かな高みに霞んで見えてきました。穂高です。昔、あの山に
登ったことを思い出します。

私はある確信をもってその右に視線を移していきました。
すると天に突き上がる三角の塔が幽かに見えてまいりました。

槍です!
崇高としかいいのようのない姿です。

私の眼前には悠久の時間が流れています。
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成年後見19-遺言執行2

2011.5.2 五月晴れ

先週、今年初めに亡くなった方の遺産の遺言執行を行いました。
今回も蔵書の寄贈の仕事です。2回の寄贈によって、約100冊の洋書等が都心に
ある大学の図書館に収まることになりました。これは正直嬉しいです。

が、まだ1万冊前後が残っています。
現在は、東京にある大学の研究センターに問い合わせ、洋書関係は
そこにできるだけ多く引き取ってもらう交渉を始めています。

しかし、蔵書寄贈の遺言執行をやってみて痛感するのは、現代は本が
溢れている時代になったということです。日本は豊かになったのです。
東京にある最近リニューアルした図書館にも複数あたってみましたが、
古い本はまったく必要とされていなく、新しい本が欲しいということでした。
図書館は保存庫ではないので、古い文献などはいらないということのようです。

私としては故人が心血を注いで集めた洋書関係はできるだけ大学等に
引き取ってもらいたいと望んでいますが、果たしてどこまでいけるか・・・

がんばろう。

 

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